■遊びの森

       山野草の一年

       オオマムシグサ

       ウバユリ

 

 

       ▲Baku

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         Top▲Baku

 植物の成長を一年を通して観察する機会は、花壇や鉢植えの鑑賞植物以外そうあるものではない。野草の姿というと、多くの人は花の咲いた時期の形を思い浮かべる人が圧倒的に多いと思う。植物の一年の姿を観察すると、その成長過程の変身振りに、驚かされるはずである。
 庭に芽を出したオオマムシグサを定点撮影し、GIFアニメでスライドショーにした。


オオマムシグサ

Arisaema takedar
サトイモ科テンナンショウ属

 森の木陰に生える多年草で、茎は80センチメートルにも 伸びる。そのスーッと伸びた茎に左右に二枚の葉を出す。
 紫色の花は仏炎苞という形で咲き、20センチも大きく、
その形が蛇の頭に似ているところから通称、マムシグサと呼ばれる。
  根は、サトイモ科だけに薯の形とおなじである。 この科目のテンナンショウ属は、13種類もあって、花も紫 から若草色とさまざだ。
  ウラシマソウなどは、仏炎苞の付属体から釣竿の穂先のように長い糸状に伸ばした姿を見せる。
 この花の色を、誰もがグロテスクというが、僕はそうはおもはない。その名称よりもシンプルな葉形と深い紫色に白い縞模様に魅かれる。

大地からニョッキリ伸びた芽は、蛇の尻尾が出てきたようでユーモラスだ。

1ヶ月もたたずに両葉が伸び、花芽がつく。1週間たつと1メートルにも伸びた。

仏炎苞と呼ばれる花は、確かに蛇の頭のようだ。蓋のようにかぶさっている苞は、徐々に上向きになる。

初夏、花をつけると棒状の付属体の先端は丸くふくらむ。付属体の元には、早くも実の痕跡が形成されている。

根を掘り出すと、まさにコンニャク芋のようだった。

花が枯れると、付属体の元に実が少しづつ充実してくる。緑のつややかな実は、やがて上から赤く熟してくる。

秋、真っ赤に熟した実は、枯葉の森をあでやかに彩る。この時期、森を逍遥すると、実の先端にヒヨドリが止まり赤い実を啄ばむ姿が見られるだろう。

 ウバユリ

  姥百合
  Lilium Cordatum
  ユリ科ユリ属

暗い森の中で淡緑色に白く咲くウバユリは、ひと際艶やかだ。花の盛りに、根元の葉が枯れてなくなるところから、「歯なしの婆さん」に喩えて、この名が付いたそうだ。が、可愛そうな名称だ。
山野草の一生を
見つづけると、愛おしささえ感じます。

ウバユリを薄気味悪いという人がいますが、一年を通して見つめると愛らしいものです。
森の周辺に行ったときは、薄暗い森に目を凝らしてください。
夏、素敵な艶姿が見られることでしょう。
雪解けを待ちわびるように、艶やかな緑が顔をだした。 花びらが重なるような葉は、太陽を浴びて次々に開く。 三週間もすると、一枚の葉が スリッパより大きくなる。
一ヶ月で、両腕を広げても抱えきれないほどだ。 葉っぱは、蝶になる毛虫の大好物で、穴だらけになる。 葉の中心から、茎が伸び出す。葉の下も伸びる。ドンドン伸びる。
二ヶ月で、七十センチにも成長した。驚異すら覚える成長振り。 七月、トンガリ帽子のような蕾がにょきにょきと伸びる。本当によく伸びる。
トンガリ帽子は、幾重にも伸びる。伸びをするように四方に伸びる。
淡い緑かかった白い花は、艶やかさを感じさせ、木漏れ日に似合う花である。
実は丸々と育ち、アオガエルも気持ちよさそうに休んでいる。 秋、実をつけた茎は立ち枯れ、実は徐々に割れる。北風の吹くのを待ち焦がれる。
北風の到来にあわせはぜたハート型の種子は、風に乗って種の繁栄の旅立ちをする。 太陽を一杯に浴び、立ち枯れた姿は、 そのままのでドライフラワーになる。
素朴な日向の香りまでするような気分にさせてくれる。自然からのプレゼントに感謝である。