■森の恵み

       キノコ採りの愉しみ


       ▲Baku

 数ある山の幸の中で、誰も が心ときめかすのがキノコ である。森と親しくしている人々にとって、秋のキノ コ採りは最大の楽しみだ。 だが、毒キノコへの恐れか
ら手をこまねいている人々が多いのである。
 子供のころからキノコ採りを楽しんでいたが、実際、八ケ岳南麓に住んでも、この地域のキノコの種類がわからず、二年ものあいだキノコ採りを楽しめなかった。森の師匠、中山素直さんとの出会いがあったものの、数々のポケット図鑑片手に、僕のキノコ探検がはじまった。
 この収穫は、ある秋の一日八ヶ岳山麓で採ったキノコである。まず、安全に食べられるキノコだけをめざし、ポケット図鑑を持って森へ入った。
【僕のおすすめキノコ図鑑】
 森へもって行くのには『ポケットきのこ』清水大典・伊沢正名(家の光協会) が重宝している。ちょっと重いので、車に乗せて置くのが『信州きのこ百科』信州きのこ研究会(信濃毎日新聞社)、『キノコ狩りガイドブック』伊沢正名・川島健市(永岡書店)の二冊だ。もちろん車には、毒キノコの確認にと『日本の毒キノコ150種』小山昇平(ほおずき書籍)も、積んである。しかし、図鑑はあくまでも目安につかう。少しでも不安を感じたら採らないことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

@アイシメジ 広葉樹や針葉樹の混成林内に点在または群生する。傘4−10cm。キシメジに似ているが、暗い緑がかった色調でと夕は白色。人気が高い。
Aオオツガタケ 針葉樹林に群生か散生する。傘5−15cm。傘が開く前の初期は茎がささくれ香りもあり、マツタケによく似ている。サマツとも呼ぶ人もいるが、早い時期のマツタケとは違う。
B八ナイグチ カラマツ林内に群生。傘4−14cm。強いぬめりがあり、収穫量の多いイクチ科のキノコ。土地によっては、ジゴボウやリコボウの名で呼ばれている。傘裏は、管孔で濃い黄色。
Cクロカウ マツやコメツガの針葉樹林に群生か散生。傘5〜20cm。見た目は悪くほろ苦みがあるが、人気がある。落ち葉に埋もれていることが多く、見つけたら周辺を丹念に探すのがコツ。
Dキシメジ コナラ、ミズナラ、カラマツ、マツの混成林で1列に発生する。傘5〜10cm。レモンイエローの色調は、さわやかで気分が良い。ほろ苦さがあるが、裂いて水に晒すと消える。
Eフウセンタケ クヌギ、ナラの広葉樹やモミ、マツの針葉樹の混成林に群生。傘5−12cm。肉厚で淡い青紫色から褐色を帯び、傷つくと濃い紫色になる。傘から茎の蜘蛛膜状のツバが特徴。
Fアカモミタケ 針葉樹のモミかマツの混成林に群生か畢生する。傘5〜15cm。淡いオレンジ色で、傷を付けると朱色の乳液を出すが空気に触れても変色しない。
Gシモフリシメジ マツやモミの針葉樹や、マツ、モミ、ミズナラの混成林に群生か列生する。傘4−8cm。秋やや遅く霜の降り始めに発生する。
Hウスタケ モミ、マツの針葉樹林内に群生か散生する。傘4〜14cm。漏斗状のラッパ形と傘内面のオレンジ色に朱紅のささくれが特徴。
Iホティシメジ 雑木林やマツ、特にカラマツ林に群生する。傘3−9ml。沢山採れるが、酒の肴に食べると相乗効果で悪酔いするので要注意。
Jクリフウセンタケ 広葉樹のコナラ、ミズナラ林か、モミ、マツの混成林に群生か散生する。傘5−9cm。落ち葉の下に隠れていて見つけにくいが、1株見つけると列をなしている。
Kオオキツネタケ 雑木林やマツ林に点々と単生か群生する。傘2〜7cm。6月頃から】0月下旬まで、どこの林でも見かける普通の小さなキノコで、多数群生する。
Lシロナメツムタケ 雑木林、ブナ林またはマツの混成林内に群生か散生する。このナメツムタケの仲間は収穫が多く料理万能で昧が良い。
Mチャナメツムタケ スギの針葉樹やブナの広葉樹林内の地上または半分埋もれた枯れ木に群生。傘4−10cm。多量に数年続けて発生。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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森は、畑……?

 僕のキノコ採りは、七月からはじまる。もちろん春からキノコは採れるのだが、数が少ない上にそれらのキノコが食欲をそそらないので採らないのだ。
  夏キノコのタマゴタケとチチタケは姿も美しく、食べても美味しく大いに満足させてくれるキノコである。タマゴタケは、ヨーロッパでは貴婦人と称して大変人気のあるキノコだと聞き及ぶ。
 ここに載せたタマゴタケとチチタケは、2001年の夏の収穫である。この年は、キノコの不作といわれた。実際、九月になっても、ハナイグチやオオツガタケの発生はすくなかった。十月末のシモフリシメジに至っては、一本も採れなかった。
 四季折々森を歩くと何かしらの収穫はあるもので、恵みを手にすると、まさに森は、畑か農園のような錯覚さえしてしまうのである。

タマゴタケ


チチタケ


タマゴタケの収穫

シラカンバに発生した ヌメリスギタケモドキ

地上に顔出してから3〜4日の成長過程

 地中に発生したタマゴタケは、白く卵の形だ。半分に切るとゆで卵にそっくりで名前の由来になっとくする。地上に姿を現した順に左から並べた。

キノコ採りの一日、山歩きの疲れも、帰って味わうキノコ料理への期待で吹き飛んでしまう。山の幸は、採る楽しみと味わう楽しみを満たしてくれる恵みだ。
 キノコは、料理によって味が生きてくる素材だ。それぞれの持ち味を生かした調理法で、大地の恵みおいしくいただき感謝したいものである。

キノコは、種類によって調理法が異なる。それぞれに合った調理法を紹介する。

[天麩羅](大皿)には、クリフウセンタケ、アイシメジ、ウスタケ、オオキツネタケ、アカモミタケ。天麩羅の場合、ヒダ(傘の裏)のきれいなものを使い、水で洗わず濡れた布巾で拭くことがコツである。

[酢の物](左上)には、クリフウセンタケとキシメジ。

[炒め物](左中)には、クリフウセンタケとフウセンタケのバター炒め。

[焼き物]の皿(中央下)。 右から、クロカワ、オオツガタケ、キシメジ。

[汁物] (左下)キノコ料理の茎本は、鍋である。それもたくさんの種類が入るほど旨い。これは、ハナイグチ、シモフリシメジ、シロナメツムタケ、チヤナメツムタケのキノコ汁である。

[食前酒]は、ヤマナシの木の実酒。

[タマゴタケ]は、チーズとあわせたホイル焼きや、クリームシチューや茹でたジャガイモをベースにしたチーズグラタンが合う。

[チチタケ]は、出し汁キノコで、醤油汁で「うどん」や「そば」や「ほうとう」につかうとたまらない。わが家の夏にはなくてはならないキノコ汁である。油で炒め、佃煮に煮ると旨みがでて酒の肴になる。  




ベニテングダケ (毒) 毒キノコといえども美しい。処理の仕方で食用にもなる。

マスタケ (食)幹に生え、魚のマスの切り身のようで、フライ似すると美味い。

コガネタケ (食)民家に近い道端などにも発生する。黄粉をまぶしたような姿で一目瞭然に判別できるる

アイシメジ (食) 9月ごろ収穫が多く、酢の物に合う。アイの意味は、キシメジとシモフリシメジの中間ということだ。

チャナメツムタケ (食) 広葉落葉樹林で、倒木の周辺に多く発生する。

ハタケシメジ (食)庭や畑の縁に大く発生する。 本シメジの近縁種で味も良い。