■創作の森

     手作り絵本講座

 

     ▲Baku

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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手作り絵本講座    ■パソコンとプリンタの応用を愉しむ技法
わが家の庭に来るリスを、女房が撮影して

いた。

そんなスナップ写真を眺めていると、

物語が生まれた。

本来の製本法とは違うが、

表紙や扉や目次を組み込むと、

本に似た形にはなった。

私家版「ぴん助リスの一日」は、完成した。

手作り本の技法
 自分自身で描いた絵や撮影した写真が、書籍の形になることを夢見たことはありませんか。僕は子供の時からそんな夢ばかり描いていました。そんな願望が、出版の世界での仕事を選ばせたのではないかと思うのです。
 子供の頃、画用紙に描いた十数枚の絵を半分に折り、木綿糸を通した針でかがって、絵本をつくったことがあり
ます。
中学二年の時、ホッキスが発売され、本の形に簡単に綴じることができ、嬉しかったのを覚えています。
 パソコンとプリンタは、本作りにとって、心強い道具です。本来の印刷し製本される書籍の技法とは、違う方法ですが、自分だけの一冊の本の形にはなります。時間と手間をかければ何冊も作れます。世界にひとつの手作り本の技法を楽しんでください。

                           荒川じんぺい
絵画や写真、何でも本という形になります。 ただし、整理し、編集という作業をしないと、形にはなりません。 どんな本にするか、思いついたままメモに書き出してみることです。イメージを描けば描くほど、本の形が見えてきます。それには、落書きが一番、編集の第1歩です。 「女房が撮影した写真は、14点あった。そのままページに構成しても面白くない。思いをめぐらしていると、わが家の庭の四季も一緒に紹介できないかと思った」
 リスの一日を想定し、庭で撮った別な写真を組み合わせると、いつのまにか、リス物語になったのです。
僕は、表紙から考えました。タイトルを決めるだけでも、イメージはふくらみます。
 表紙には表題と著者名が入りますが、ペンネームや架空の出版社名を遊び感覚でつくると、より楽しく本物に近い印象がでるでしょうか。
 表紙をつくる際の注意することは、本文ページの流れと逆だということです。
 絵コンテは、ページ単位の漫画のコマのように、升目を描くことで、ページの流れが見えます。使う画像を見ながら、思いついたことを何でも落書きのように書き込むことです。ノートに書くと、具代的に考えられます。

 組写真を楽しく見せるレイアウトのコツは、大小のメリハリをつけ、何箇所か見開きページをつくると活気がでます
ここからパソコンでの作業になる。
使用する画像は、すべて専用のフォルダをつくり、タイトルをつけて保存すると、
後々整理もしやすく作業も容易になります。
●表紙の構成
 表紙もA4版で構成し、プリント出力しますが、表紙を作る場合に注意しなければならないのは、本文の頁の開き方向とは逆に構成しなければならないことです。

 右開きで本文ページの構成をしたなら、表面の表紙が中心から左側にくるわけです。
この「びん助…」の場合は、左開きの本なので、表紙は右側という関連になりました。

●背表紙の厚み(背幅)
 実際に使う用紙をページ数(折った場合)の数だけ重ねて、定規で正確に割り出します。

 これまでの説明で、用紙のサイズに問題が起こることに気が付いた人は鋭い。何枚もの本文用紙を重ね貼りすると、本の背になる部分が厚くなり、表紙を貼るとその分、表紙の両面が短くなってしまうということです。この件は、最後に述べます。

●ページの構成
 A4版のサイズを2ページ頁の見開き単位として構成します。つまり、ディスプレイ上で写真などの画像や文章を取り込み、ページに貼り付け構成するのは、常に真中で用紙が折られるとして考えなければならないのです。

●レイアウト用紙
 雑誌や単行本を編集する際、レイアウト用紙を作ります。紙面(版面)のサイズを決定し、その内部で写真や文字を配置するわけです。
 この場合は、A4版の内側に、天地左右とも各10ミリ以上の余白を取り、折り線になる位置から左右にも各10ミリづつ取りました。それぞれの位置を当たり罫で囲みました。

 この段階のページを一度フォルダにフォーマットととして保存。ページを新規に作る場合、その都度レイアウト用紙として使用します。この当たり罫は、構成が済むと消去します。

●プリント用紙の選択

 最近では、さまざまな種類のプリント用紙があります。製作する本の内容に合ったプリント用紙を選ぶことは大切です。画像の再現性を重視するか、ページをめくったときの手触り感を大切にするか、強度も大切な要素になります。
  こうしたことが、製本の大切な要素になると覚えておいてください。

 写真中心なら、印画紙のような艶のある用紙がいいでしょうか。絵画なら、マット紙がいいでしょう。また、キャンバス目の用紙も適しているかも知れません。あるいは、画用紙のような用紙も適しているかも知れません。
  よくよく、イメージを膨らませて選択してください。


●本文ページの折り加工
 プリンタで印刷(出力)した用紙は、すべて横位置の中心で内側に半分に折ります。その場合、軽く折った後、ビール瓶などで、折り目を軽く何度か擦ると、折り目がきれいにつきます。この作業は、仕上がり感に関連するので、ていねいにしましょう。
 次に折った用紙の裏に、スプレーのりを満遍なく噴射し、のりは軽く吹き付ければよく、多く付けすぎては逆効果です。ページをていねいに重ね貼りします。「スプレーのり」は何度でも貼りなおしが効くので、あわてずに作業をすることです。特に背になる部分がはみ出さないように、すべて均一に貼り合わせないと、表紙を貼ったときにでこぼこして見栄えがよくありません。
●表紙の貼りつけ。
 背表紙になる部分の折り目を付けておいてください。つづいて、本文の背の部分を表紙の背の折り目に合わせてから、表面、裏面と順番に貼ると作業がしやすいでしょう。
スプレーのりは何度でも貼りなおしが効くので、丁寧な作業をすることです。なお、

●注意
「スプレーのり・55」は、スリーエム社の製品名で画材店や文房具店で購入できます。なお、スプレーを吹き付ける際、ダンボール箱を横にし、中に用紙を置いて吹き付けると周囲を汚さなくて済みます。

 表紙面(小口)から、背幅のサイズ分だけ本文ページがはみ出しています。この部分(右の図の赤点線部)を、定規を当て、カッターナイフでていねいに切り取ってください。一度にきろうとしないで、軽く何度もナイフを重ねて少しずつ切ると、切り口がきれいな仕上がりになります。

●これで、完成 。

  
絵本作りワークショップ
「世界にただ一冊の絵本を作ろう」

2005年9月19日(月)瀬戸会場・市民パビリオン:対話ギャラリーにて、
10名ずつ三回に分けて開催しました。たくさんの方の参加をいただき感謝します。

手作り本・私家版「ぴん助リスの一日」は、
『荒川じんぺいのパソコン生きがい塾・1:趣味を広げる』岩波書店刊(定価本体1500円+税)
                                           で、詳しく紹介しています。
      http://www.iwanami.co.jp/order/index.html
 本書では、他にもお絵描きやデジタルカメラの裏技など、パソコンでのさまざまな趣味の楽しみ方を紹介しています。
        あわせて参考にしてください。(荒川じんぺい)